第29回 仕事をAIに任せるワークフローを作る

前回は、AI+Pythonで作る最小システムについて考えました。

入力があり、AIに渡し、結果を受け取り、整えて出力する。

この流れができれば、仕事の一部はかなり仕組みにできます。

では次に必要になるのは何か。

それは、単発の処理を、仕事全体の流れの中に組み込むことです。

つまり、ワークフローを作る、ということです。

単発のAI利用では仕事は変わらない

AIを使って便利になった、という人は増えました。

たとえば、

  • 文章を書かせる
  • 要約させる
  • アイデアを出させる
  • 表現を言い換えさせる

こうした使い方は確かに便利です。

しかし、それだけでは仕事の本質はあまり変わりません。

なぜなら、毎回自分が考え、毎回自分が指示し、毎回自分が次の作業をつないでいるからです。

これでは、AIは「便利な道具」ではあっても、まだ「働く仕組み」にはなっていません。

ワークフローとは何か

ワークフローとは、仕事の流れを順番に整理したものです。

たとえば記事作成なら、

  1. テーマを決める
  2. 見出し案を作る
  3. 本文の下書きを作る
  4. HTMLに整える
  5. 公開前に確認する

という流れがあります。

請求処理なら、

  1. データを集める
  2. 内容を確認する
  3. 文面を作る
  4. 送付する
  5. 記録を残す

という流れになるかもしれません。

重要なのは、AIをこの流れのどこに入れるかを決めることです。

AIに任せるのは「判断の一部」

ここで勘違いしてはいけないのは、仕事全部をAIに投げることではありません。

実際には、ワークフローの中の一部だけをAIに任せる方がうまくいきます。

たとえば、

  • 見出し案を作る
  • メールを分類する
  • 文章を要約する
  • 下書きを作る
  • 候補を複数出す

こうした部分です。

つまりAIは、仕事全体を丸ごと置き換えるのではなく、流れの中の判断部分を担当するのです。

人間は「前後」を設計する

では人間は何をするのか。

役割は明確です。

  • 何を入力するか決める
  • どこでAIを使うか決める
  • 出力をどう使うか決める
  • 確認ポイントを決める

つまり、人間は前後を設計します。

AIは真ん中の一部を担当する。

この考え方に変わると、仕事の見え方が大きく変わります。

「自分で全部やる」から、流れを組んで回すへと発想が移るのです。

ワークフロー化すると何が起きるか

仕事をワークフローにすると、いくつか大きな変化が起きます。

第一に、同じ品質を出しやすくなります。

担当者の気分や、その日の疲れによって、毎回やり方が変わることが減ります。

第二に、改善がしやすくなります。

流れが見えていれば、どこに無駄があるか、どこをAIに任せればよいかがはっきりします。

第三に、人間が本当にやるべき仕事に集中できます。

企画、判断、責任。そうした部分に時間を回せるようになります。

最初は「1本の流れ」でよい

ここでも大事なのは、最初から大きくしないことです。

まずは1本の流れで十分です。

たとえば、

  • 毎日の記事下書き作成
  • 問い合わせメールの一次分類
  • 会議メモの要約と整理

このくらいの小さなワークフローでよいのです。

1本でも安定して回り始めると、仕事の見え方が変わります。

すると次に、別の業務も同じように整理したくなります。

ここから先は、AI活用というより、仕事の再設計に近くなっていきます。

AI時代の強さは「流れを作れること」

AI時代に強い人とは、AIに詳しい人とは限りません。

本当に強いのは、

仕事を流れとして見て、どこを仕組みにできるか考えられる人

です。

これはプログラマーだけの話ではありません。

事務でも、営業でも、教育でも、経営でも同じです。

仕事を分解し、流れにし、必要なところにAIを入れる。

この発想ができる人は、これから非常に強くなります。

次回予告

次回は、この流れをさらに進めて、AIを「チーム」として使う考え方を取り上げます。

一つのAIに全部やらせるのではなく、役割を分けて組み合わせる。

そこまで行くと、AI活用はさらに現実的になります。