AIに仕事を任せるとき、つい「とりあえずやってみて」と頼みたくなることがあります。
もちろん、それでうまくいく場面もあります。アイデア出しや、たたき台を作る段階では、それでも十分動きます。
しかし、実務になると、それではだんだん苦しくなってきます。
なぜかというと、完成形が決まっていない仕事は、途中でいくらでも話がぶれてしまうからです。
AIに指示を出して、出てきたものを見て、「やっぱりこうして」「いや、こっちを残して」「やはり別の形式で」と何度も直していると、結局、人間が整理できていなかっただけ、ということがよくあります。
だから、AIに仕事を任せるときは、最初に「完成した状態は何か」を決めておいた方がよいのです。
これは、細かいデザインまで全部決める、という意味ではありません。
少なくとも、
・最終的に何を作るのか
・何が残っていれば完成なのか
・どの形式で出てくればよいのか
この3つくらいは、先に決めておいた方がよいのです。
たとえば、CSVの整理ならわかりやすいでしょう。
単に「このCSVを整えて」と頼むのではなく、
「空欄行を削除し、メールアドレスの重複を除き、申込日の新しい順に並べ替え、必要な4列だけを残したCSVを新しいファイルとして出力する」
と決めておく。
これなら、完成形がかなりはっきりしています。
文章でも同じです。
「この内容を記事にして」ではなく、
「WordPress用の記事として、見出しつきで、読者は非エンジニア、長さは1500字前後、最後に次回につながる一文を入れる」
と決めておくと、ずいぶん違います。
画像でも同じです。資料でも、メール文でも、要約でも同じです。
AIは、途中の作業を助けるのが得意ですが、ゴールがあいまいだと、途中でどれだけがんばっても、最後の仕上がりがずれやすいのです。
つまり、AIを使うのが上手な人は、指示が上手というより、「完成形を先に言葉にしている人」なのです。
ここを飛ばしてしまうと、作業は増えます。
最初は気軽に頼めた気がしても、あとで修正を重ねることになり、かえって時間がかかる。しかも、修正が増えると、どこが最終版なのかもわかりにくくなります。
人に仕事を頼むときも同じでしょう。
ゴールが見えていないまま「いい感じでお願いします」と言われると、受けた側は困ります。AIも実は同じです。
もちろん、最初から100点の完成形を決める必要はありません。そこまで厳密でなくてもよい。
ただ、「こうなっていれば今回は終わり」という基準は持っておいた方がよいのです。
たとえば、
・この列だけ残っていればよい
・この順番になっていればよい
・この文字数に収まっていればよい
・この形式で保存されていればよい
といった基準です。
こうした基準があると、AIの出力を見たときに、良し悪しの判断が速くなります。
逆に、基準がないと、「なんとなく違う気がする」という感想しか出てこなくなり、修正の指示もあいまいになります。
するとまたAIも迷い、やり取りが増えます。
だから、AIに仕事を任せるときのコツは、最初から全部を細かく決めることではなく、「終わりの形」を先に置くことです。
完成形が見えていれば、そこまでの道筋はAIと一緒に考えればよい。
しかし、完成形が見えていないと、道筋もぶれやすいのです。
AI時代に必要なのは、作業を全部自分でやる力ではありません。どこに向かって進めばよいかを決める力です。
そして、その方向が決まるだけで、AIはかなり働きやすくなります。
AIに仕事を任せるなら、まず完成形を決める。これは地味ですが、とても大事な基本です。