AIに仕事を任せるとき、最初に大事なのは「うまく頼むこと」です。
これは、単に丁寧に頼む、という意味ではありません。AIが処理しやすい形に仕事を言い換える、ということです。
多くの人は、AIに対して人に話すように頼みます。もちろん、それである程度は動きます。しかし、実務で使える精度に近づけようとすると、それだけでは足りません。
たとえば、CSVの整理を頼む場面でも、
「これを見やすくして」
「きれいにして」
「使いやすい形にして」
という頼み方では、AIもかなり困ります。
なぜかというと、「見やすい」「きれい」「使いやすい」が何を意味するのか、人によって違うからです。
ある人は不要な列を消したいのかもしれない。ある人は並び順を変えたいのかもしれない。ある人は表記ゆれを直したいのかもしれない。AIはそのあたりを推測して動いてくれますが、仕事では推測に頼りすぎると危ないのです。
だから、AIに仕事を任せる人は、「抽象的なお願い」を「具体的な処理」に直す必要があります。
たとえば、
・空欄の行を削除する
・メールアドレスが重複している行は1件にする
・申込日の新しい順に並べる
・氏名、メールアドレス、商品名、申込日だけ残す
このように言い換えるのです。
こうすると、AIはかなり正確に動けます。
ここで必要なのは、プログラムの知識そのものではありません。必要なのは、仕事の内容を「処理の単位」に分ける力です。
人間同士でも、仕事ができる人は指示が具体的です。「適当にやっておいて」ではなく、「ここをこう直して、これを先に出して、これは削除しておいて」と言います。AIに対しても、それは同じです。
むしろAIは、あいまいな空気を読むのが得意そうに見えて、実務ではそこが一番あぶない。何となく望みに近いものを作ってきても、細かいところがずれていることがよくあります。
だからこそ、任せる側に必要なのは、「いい感じにやって」を減らすことです。
AIを使いこなすというと、すごいプロンプトを書けることだと思われがちですが、実際にはもっと地味です。自分がやりたい作業を、小さな処理に分けて順番に並べる。それだけでかなり違います。
たとえば、
1.不要な列を削除する
2.空欄行を消す
3.重複をなくす
4.日付順に並べる
5.保存する
というように分ければ、AIはかなり扱いやすくなります。
この考え方は、CSVだけに限りません。文章の整理でも、画像の分類でも、問い合わせ対応でも同じです。
要するに、AIに仕事を任せるというのは、魔法の言葉を見つけることではありません。仕事そのものを整理することです。
そして、その整理ができる人ほど、AIを実務に組み込みやすいのです。
AI時代に必要なのは、全部を自分でやる力ではありません。何を、どの順番で、どこまで任せるかを決める力です。
その第一歩は、あいまいな言葉を処理に直すことから始まります。